オーガニック世界統一基準、COSMOS(コスモス)認証とは?
公開日:2018年 1月 12日 最終更新日:2021年 8月 26日
近年の健康志向やエコ志向に基づき、世界規模で急速にオーガニック市場が広がっています。食品分野のオーガニック商品の登場から始まり、今ではオーガニックコスメやオーガニックアイテムなど生活のほとんどの分野で市場が拡大しています。
今回はそんな中、日本でも市場が徐々に広がりつつあるオーガニックコスメ市場と、注目すべき認定機関についてのお話しです。
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世界的なオーガニックコスメ市場においての認定機関の動き
オーガニックの始まりは1970年代。1990年代より全世界で本格的に「オーガニック」がブームとなり、オーガニック食品やオーガニック商品が誕生するのと同時に、欧米をはじめとした各国ではその品質を担保するための様々なオーガニック認証団体が生まれました。当時のオーガニック認証の基準は各団体が独自に制定していたため、認証団体により異なっていました。
オーガニックコスメ市場が拡大し、様々な認証規定による商品が市場に流通すると「いったいどのオーガニック認証のものが安全なのか?」「どの基準が正しいのか?」など、消費者のなかで混乱や困惑が増加。
そんな消費者の声やコスメ業界・流通業界からの煽りを受けて、「ヨーロッパ統一基準を設けよう」という動きが2000年ごろからみられるようになりました。
ヨーロッパにおいて主流であった5つのオーガニック認証団体が、2002年にドイツのニュルンベルクで開催された「Biofa(ビオファ)」にて、国際的なオーガニックの認証を制定することを合意しました。
それから8年の年月をかけ、それまで各々の基準で認証していた基準を取りまとめ、2010年、国際基準となる「コスモス認証」が誕生しました。
「コスモス認証」とは、Cosmetic Organic Standardの略。取りまとめに参加した5つの団体は、フランスの「COSMEBIO(コスメビオ)」と「ECOCERT(エコサート)」、ドイツの「BDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)」、イギリス「Soil Association (英国土壌協会)」、「ICEA(イタリア)」です。
COSMEBIO(コスメビオ)
ECOCERT(エコサート)
BDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)
Soil Association (英国土壌協会)
ICEA(イタリア)
COSMOS認証とエコサート
「コスモス認証」の基準は、主に4つの項目から成り立っています。
・有機農業、生物多様性を尊重した原材料の使用を促進すること
・循環可能な形で入手した自然由来原料と環境に優しいものを使用すること
・人間と地球環境に配慮したものづくりを行うこと
・”グリーンケミストリー”(生態系に与える影響を考慮し、持続・成長可能な科学工業のあり方を提言する環境運動) の考え方にそった商品開発を行うこと
https://cosmos-standard.org/the-cosmos-standard/
この基準は、2003年1月版の「ECOCERT」(仏)をベースに構成されています。
COSMOS認証マークについて
「コスモス認証」の誕生後、各国のオーガニック認証団体の基準は2016年12月で終了。2017年1月より「コスモス認証」が設けた統一基準での認証を行うこととなりました。
2017年以降の認証マークは、従来の5つの団体のマークはそのままに下にコスモスマークが追加される形となりました。
( 2017年1月以降の新製品の認証マーク一覧 )
2017年1月以前に認定を受けた製品にはコスモスマークが付きません。
現行品を、コスモス認証マークがついたものに更新・製品を発売したい場合には、コスモス認証基準に合わせた成分調整が必要になり、新たに認証を取り直す必要があります。すべてのマークにCOSMOSがつくかというとそういう訳ではないのです。
経緯を理解していないと区別が難しいマークとなっていますが、今後コスモス認証の商品が増えることにより、ロゴの統一が浸透することで解消されていくでしょう。
COSMOS認証について
コスモス認証基準は2種類に分類されています。
①COSMOS ORGANIC(コスモス オーガニック)
・内容成分の95%から100%が自然由来の成分であること
・植物原料(オイル・抽出物・バターなど)の95%~100%が有機農法、遺伝子組み換えしていない農法によって作られた原料でなければならない
・完成品の最低20%は有機農法によって作られた原料であること(洗い流す製品シャンプーやリンス、コンディショナーは10%でよいと例外があります)
・ヨーロッパの基準で厳格に定められてる原料以外の成分は使用できない。そして植物原料以外の成分の使用は内容量の5%以下であること
・製品に使われるすべての成分、原料は環境に悪影響を与えない生分解性のものでなければならない。
②COSMOS NATURAL(コスモス ナチュラル)
・使用されている全ての原料は精査され自然由来の原料でなければならない
・オーガニック原料の最小必要含有量はない
・ヨーロッパの基準で厳格に定められてる原料以外の成分は使用できない。そして植物原料以外の成分の使用は内容量の5%以下であること
・製品に使われるすべての成分、原料は環境に悪影響を与えない生分解性のものでなければならない。
使用が禁止されているもの
・遺伝子組み換え(GMO)が行われている植物原料
・生きている動物や解体された動物から産出されたもの
ただし以下の場合に限り、動物由来の原料の使用が可能なようです。
・動物から産出されるものではあるが、動物の一部ではないもの
・処理によってのみ得ることができるもの
・動物愛護が守られている動物から産出されたもの
具体例としては、動物から産出されるものは牛乳やはちみつなど。動物そのものではありませんので使用可能な原料です。使用が禁止されているものは、動物の油脂やコラーゲンなどです。これらは動物そのもの(処分や解体を通して)から産出される原料となります。
コスモス認証、石油由来成分はあり?なし?
コスモス2種のうち、COSMOS NATURAL(コスモス ナチュラル)では一部、石油由来成分の使用が可能なものがあります。その多くは防腐剤にあたります。旧指定成分も含まれています。
ただし、内容成分の配合比率を明記することを定めており、合成成分の配合の上限については2%と規定しています。
そこでやはり「石油由来成分」の使用することに反対の声も多く、今後も様々な争点はあるでしょう。
日本ではまだまだ見かけることの少ない「コスモス認証」マークですが、オーガニックコスメを選ぶ上では欠かせない重要なポイントです。
正しい知識で正しい選択ができるよう、認証マークについても注目しながら商品選びをしていきましょう。
また、日本で販売されている商品にも、確かな安全性が確認できる信頼できる認証を取得した商品が増えるといいですよね。